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人間失格の僕が太宰治を学びに行ったら大変なことになった 〜後編〜
更新日:2016年11月09日
太宰治を知るために突然「文豪ストレイドッグス」の等身大パネル巡りに行くはめになったりんご飴マン。今日中に帰れるのでしょうか。
「もう腹くくったよ。まずはどこから行けばいい?」
「りんご飴マンさんのホーム、弘前です!」
太宰治 まなびの家
ということでやってきた「太宰治 まなびの家」。もともとは藤田家の住宅なのだが、太宰が同家と親戚だったため官立弘前高等学校(弘前大学の前身)時代の約3年間、下宿したのだ。
「うおっ! 誰これ」
「太宰です」
「入口開けたらいきなり出てきたよ…。高校時代の太宰ってこんな感じなの?」
「有名な写真は晩年のものですからね。若き太宰はとても陽気だったようですよ」
青春時代を過ごした部屋。見晴らしの良い落ち着いた空間だ。
授業中に書いていたとされる落書きノート。
「絶対授業聞いてなかっただろ」
「太宰もまさかこのノートが展示されるとは思ってなかったでしょうね…」
なんというか文豪・太宰治のイメージとは程遠い、学生時代のあどけない太宰がそこにいて安心した。ちょっとこじらせた太宰を見ることができる貴重な場所ですねここは。
ちなみにパネルは入口前に普通に置いてあった。
「このイケメンは?」
「国木田独歩です。さぁ、次は中泊に行きますよー」
津軽中里駅
着いたー津軽中里駅! 小説「津軽」でも登場する、幼少期の太宰の子守をした「タケ」に会いにいくためにここに降り立ったのだ。
パネルも改札前で発見!
「このイケメンは?」
「宮沢賢治です。特殊能力名は『雨ニモマケズ』」
「予想外すぎた」
斜陽館
そして来ましたー斜陽館! 太宰の実家でございます。太宰一家が住んだ後は旅館として町の観光名所となり、その後現在の記念館になったのだ。
「でけえええええええ」
「10人兄弟の6男として生まれました。大家族の豪邸です!」
実はここ斜陽館限定で、文ストのコミックスまたは小説版を持って行くと入場料の割引特典が受けられるのだ。これはありがたい。
本人パネルあったー! さすが実家!
いっけめーん!!!!
建物の立派さからものすごいボンボンのように感じていたけど、実際にガイドさんの話を聞いて中を歩いて見ると幼少期の太宰も大変だったんだな…と感じることができるよ。これはぜひ現地を訪ねてみてください!
ちなみにここではコラボ商品も販売されている。りんご飴マンのおすすめは石炭クッキー!
どう見ても石炭なのだが食べてみてビックリ。ぜひ試してみて。
太宰治疎開の家(旧津島家新座敷)
斜陽館から徒歩圏内のこちら、太宰治疎開の家。もともとは太宰のお兄ちゃん夫婦が建てた離れの家なんだけど、その後疎開した太宰が暮らした場所らしい。
2人いた。
「左のコワモテ風イケメンは?」
「織田左之助です」
ここの注目スポットは何と言っても太宰が執筆のために使っていた六畳間! ここで執筆した作品は20を超えるとのことで、太宰がここに長い時間腰を落としていたことがわかります。
「めっちゃそれっぽい」
「実際に物書きがここを訪れ、座るとアイデアが降りて来るという逸話があるらしいですよ」
「どうすか?」
「はいいくぞー」
金木駅
太宰実家の最寄駅ー! きっと幼少期は数え切れないほど来たんだろうね。
はいいたー!
「このイケメンは?」
「主人公・中島敦です」
「えっ、主人公って太宰じゃないの?」
「そうなんです。この中島が餓死寸前で彷徨っていたとき、入水自殺をしそこねて川を流れていた太宰を助けるところから物語ははじまります」
「展開がカオスすぎてついていけない」
伊藤忠吉記念図書館
どんどんいくよー!
いたー!
「坂口安吾です」
喫茶店「駅舎」
つぎー! 太宰が子供の頃によく遊んだ芦野公園の喫茶店ー!
「桜が有名なエリアで、太宰もよくお散歩をしながら作品の構想を練っていたと言われています」
「文学ファンにはたまらないロケーションだね」
はい!いました。
「中原中也です」
オシャレなカフェでゆっくりしたかったけど時間がないのでまた今度お邪魔するとしよう!
かなぎ元気村「かだるべぇ」
息切れしてきた。太宰の親戚宅だよー!
ゲッツ!!玄関にありました。
「谷崎潤一郎です」
「『春琴抄』の人か! なんか大学のキャンパス歩いてそう」
「飴マンさん、中に入ってみてください」
「!!!! 囲炉裏だー!!!」
「そうなんです、ここの素晴らしいところは囲炉裏が現役であること!! 今の時代、津軽中探したってなかなか出会えません」
「この雰囲気でいただく郷土料理とか、想像しただけで素敵すぎる」
「今度マジで飲みに行きましょう(真顔)」
でる・そーれ
お次は津軽鉄道本社の1Fにあるこの食事処。パネルなんてあるのか…?
ありましたー!!
「泉鏡花です」
「かわいいぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃx!!!!」
「今日一テンション上がりましたね。ここでもコラボ商品を取り扱っているので、見て行きましょう」
おすすめは「立佞武多れあちーず」。味はもちろん、箱がかわいくて小物入れにしたくなる。商品なくなり次第終了なので急いでー!
ちなみに「でる・そーれ」のおすすめは津鉄汁。青森シャモロックをつかった、ダシの効いた絶品汁。これは立ち寄ったら絶対に食べてもらいたい。
立佞武多の館
はいお次はこちら!
「でかすぎる」
「高さ20m以上の立佞武多(たちねぷた)を常時展示している施設ですからね」
いたー!
「江戸川乱歩です」
「…これで11箇所目、あともう少し! 次はどこ?」
「次は…、あっ!」
「どうした?」
「龍飛崎ですね」
「!?」
説明しよう、龍飛崎とは−−−−
ここである。
「本州の先っぽじゃねぇか」
「まさかこんなところにパネルがあるとは。でも太宰ゆかりの地なら仕方ないですね。行きましょう」
「同じ津軽でも100km以上あるけどな」
初秋の紅葉を楽しみながらも、僕たちはだんだん口数が少なくなっていった。
途中、延々と進む山道の果てに通行止めのパネルを見たときは心折れそうだった。
「帰ろう」
「ダメです! Uターンしますよ」
そして、本州の先っぽに到着すると、ある旅館を見つけた。
「地図だとここみたいなんですけど…」
「絶対違うでしょ」
龍飛岬観光案内所
玄関を開けると、とても笑顔が素敵なスタッフさんが出てきた。
「あのーすいません、何言ってるかわからないと思うのですが、ここに文豪ストレイドッグスのパネルがあると聞いてきたのですが…」
「はい、こちらへどうぞ」
「あんの!?」
本当にあった。
2つあった。
「情緒ある旅館にこのパネルはシュールすぎる」
「これを持って来たスタッフに拍手を送りたい」
「金髪の青年がジョン・Sで、ラスボス感漂うキャラがラヴクラフトです」
「なるほど。それはいいんだけどさ、」
「でかくね?」
太宰が「津軽」を執筆する折、実際に泊まった宿。現在は観光案内所として生まれ変わっている。
きっと彼はこのように火鉢に日本酒を入れ、凍える津軽の大地で熱燗を味わっていたのだろう。
いつもどおりコートに袖を通さず、まっすぐ海だけを見ていたのだろう。
眠れない夜に、天井の模様をぼーっと見つめていたのだろう。
「どう?」
「なにがですか?」
ここは、本州の極地である。
この部落を過ぎて路は無い。
あとは海にころげ落ちるばかりだ。
路が全く絶えているのである。
「津軽」より
なにはともあれこれで12箇所目。
「とうとうラストですね」
「あんまり聞きたくないんだけど…最後はどこ?」
「深浦町ですね」
「」
説明しよう、深浦町とは−−−−
ここである。
「海沿いを100km…て感じですかね」
「もう殺せーーーー!!!!!殺してくれーーーーー!!!!!」
「ここまできたら行きましょう!」
走り出した飴はもう止まらない。途中偶然出会った「たっぴの母さん」にお土産を買わされ、ラストスパート。
夕暮れのドライブを楽しむ暇もなく、時間は過ぎて行く。
「僕ら以外に全制覇した猛者はいるんですかね」
「いたら最高に仲良くなれそう」
ふかうら文学館
そして降り立った最終の地。
「あのー、ここらへんに文スト…あっ」
「いたーーーー!!!!!」
「やったーーー!!!!芥川龍之介やーーー!!!!!」
「特殊能力はもしかして羅生門?」
「その通りです」
館内は残念ながら撮影することができなかったが、「ふかうら文学館」は太宰が宿泊した旅館を改築したもので、くつろぎ空間の窓から見える夕日と海岸は僕らの偉業を讃えてくれたような気がした。
「これで目標コンプリートですか」
「そうです、コンプリートです」
「んんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんん
やったぁぁぁああああぁぁぁぁぁぁぁっぁぁぁぁぁっっぁぁっっぁぁぁぁっぁぁぁっぁ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
「喜びの舞、ありがとうございます! 実際に巡ってみてどうでした?」
「うん! もう絶対やらないね!」
「さぁ70kmくらいぶっ飛ばして弘前帰りましょう!」
「言うなよ…それ…」
一日一日を、
たっぷりと生きて行くより他は無い。
明日のことを思い煩うな。
明日は明日みずから思い煩わん。
きょう一日を、
よろこび、努め、
人には優しくして暮したい。
-太宰治-
長文駄文、失礼いたしました。
太宰ゆかりの地に、そして津軽の温かい人たちに
会いに来てね。待ってます。
りんご飴マン
(C)2016朝霧カフカ・春河35/KADOKAWA/文豪ストレイドッグス製作委員会
『文豪ストレイドッグス×青森・太宰ゆかりの地キャンペーン』を開催!
太宰治関連施設等のコラボレーションを実施!
期間中は登場キャラクターの等身大スタンディを太宰治関連施設を中心に設置するほか、津軽鉄道によるコラボ列車「人間失格号」の運行を行うなど、TVアニメ『文豪ストレイドッグス』と津軽地域を結びつけることにより、ファンの皆さんが作家太宰治が生まれ育った地域と楽しく触れ合いながら周遊できるようなキャンペーンを開催します。
詳しくはこちら!