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【SHIRO FES.レポート】弘前という街が教えてくれる、これからの地域の在り方
更新日:2016年07月04日
梅雨シーズンで数日前の天気予報では雨が並んでいた日曜日。どういうわけか弘前で屋外イベントがある日は雨予報でも当日は晴れるという現象が続いております。僕、晴れ男かもしれない。アメマンだけど。
改めて、「城フェス」はその名の通り弘前城をロケーションにしたイベント。現在弘前城の天守は100年に一度の大工事中で、天守台からお引っ越しして写真のような状態にあるのだ。なんかコンパクトでかわいいね。左には津軽富士・岩木山が。
メインエリアまでの道中ではゆるキャラたちがお出迎え。青森県は特産物や地域のコミュニティが多いせいか、ゆるキャラの数が多い気がする。
彼らは会場内を好きに散歩して、最大級の愛を振りまいて子供たちの心を鷲掴みしていた。本当にすごいキャラクターたちだ、1キャラクターとしての賛辞と嫉妬の念が止まらない。
でもピーちゃんだけはなぜか親近感すごくてホッとしたわ。
同じエリアでは大道芸が行き交う人たちを楽しませていた。水晶を流れるような指先の動きで自在に扱う人間、とホワイトタイガー?
コスプレイヤーによるトランプマジック。
華麗な手さばきで子供たちの視線を奪っていたジャグリング。
休日の弘前公園に突然現れたゆるキャラと大道芸集団。ここだけでも1つのイベントとして成立している盛り上がりっぷりであった。さぁ、ここを通り抜けてメイン会場である天守エリアへと向かおう。
ちなみに天守エリアに入るには入場券が必要。これがどう集客に影響があるのか気になっていたが、「さくらまつり」の時のように、朝からチケット売り場は人で溢れていた。すごい。
城フェスはざっくり言えばダンスが主体のイベントなのだが、ここは文化の街・弘前。このロケーションをフル活用したコンテンツがあちらこちらに散りばめられていた。その一部を紹介しよう。
早朝からヨガをする弘前の人々。津軽美人プロジェクトという津軽の女性たちを応援し、内面・外面を磨くきっかけづくりの活動の場を提供する団体のイベントだ。過去には弘前のローカル電車内でもヨガを開催するなど、既成概念に捉われない斬新な企画はここでも健在だ。
ずらりと並ぶりんごの木箱には何やらアートが施されているが、これを手がけているのは…
そう、地元の子供たちだ。見慣れたりんごの木箱を子供たちのアートの場にしちゃうあたりが実に弘前らしい。そしてこの子たちはりんご飴マンが変顔をしてずっと待っていたのだが一向に振り向いてはくれなかった。お母さん、この子たちの将来は安泰です。
オシャレなカクテルはフェスのマストアイテム。お釣り入れがここでもりんご。
豊かな自然に囲まれながら初めてのスラックライン。その他にもフリスビーなど、アウトドアならではの遊びに子供たちは大はしゃぎ。
様々なキャンプ用品が並ぶフリーマーケットには大人たちが興味深そうに商品を手に取り、賑わいを見せていた。
天守横ではストリートドッジボールの講習会が。ボールの投げ方やキャッチの仕方を日本ドッジボール協会の皆さんが丁寧にレクチャー。今では何かとドッジボールが教育の場で議論されているけど、個人的には僕らが子供のときのように、楽しいなじみのあるスポーツとしてここ青森でも定着してほしいと思います。
ちなみにりんご飴マンはつるレンジャーとタッグを組んで日本代表たちに勝負を挑んだけど、まぁ相手にならなかったよね。100kmを余裕で超えるボールが行き来するのは見応え抜群。マッチョな代表選手目当てなのか、観客は女性も多かったです。
そして弘前名物・巨大アップルパイ。「巨大アップルパイ 世界に挑戦する会」の皆さんによる2mのアップルパイの存在感よ。700個の無料振る舞いが行われたのだが…
まぁこうなりますよね。「アップルパイ振る舞い始まります〜!」その一言で一目散に走っていく皆さんの後ろ姿からは、明確な意思を感じ取ることができました。
暑い日のチリンチリンアイスで休憩。松山ケンイチもお気に入りのご当地アイスで有名になったが、彼が住んでいる地域ではチンチンアイスと呼ぶそうだ。もう一度言おう、チンチンアイスと呼ぶそうだ。
青森出身のアーティストによるライブペインティング。迫力ある龍やかわいいたか丸くん、弘前城をモチーフにした作品など弘前愛の詰まったペイントに釘付けになった人も多いのでは。
そしてとても白熱していたのはゲームブース。弘前のポップカルチャー推進プロジェクト「うぃっちたいむ!!」が提供する、最新ゲーム「ストリートファイター5」を遊べるコーナー。こんなにもアウトドアな空間であえてゲーム、なんて贅沢なのだろう。
トーナメント戦では地元の腕自慢のプレイヤーたちが参戦。専用スティック持参してたかんな。大人も子供も超アツい攻防戦に釘付け。ちなみにりんご飴マンも参加しましたがフルボッコにされました。
今ではスマホゲームが主流になり、1つの画面で横にいる友達とじゃれあいながらゲームをする文化がなくなっているように感じます。ゲームで友達になり、喧嘩もして、仲直りもしてきた僕らのような世代からするととても寂しいものです。今では「e-Sports」と呼ばれるゲームの競技化が日本にも浸透しつつあり、プロゲーマーを職業として生きている人たちもいます。ゲームがただの娯楽ではなく、子供たちの成長に繋がり、そして職業にもなりうる可能性を秘めていることをもっと色んな人に知ってほしいですね。
ということで、いよいよ様々なイベントが行われたメインステージに行ってみましょう。
この日のダンスイベントは主に3種類。アジア代表を決めるというスケールのデカさがハンパじゃない大会に、世界で活躍するプロダンサーもジャッジ・参戦する2対2のダンスバトル。そして弘前市内の高校・大学の部活やサークル、ダンスクラブなどが集まるパフォーマンスライブ。ダンスに明るくない僕でも「なんかスゲェ」と思ってしまう熱気なのだ。しかも、このイベントを全体統括しているのはFunky Stadium という地元のダンス会社というから更に驚きだ。
というか、人の数やばくない? えっ、なにこれ弘前だよね?
弘前城の天守から見た光景。こんな光景が400年後に広がるとは、津軽為信も予想しなかっただろうなぁ。
お城を背景にハイレヴェルなパフォーマンスを見せるダンサーの方々。ううむ、カッコイイ。
こんな風に踊れたら、体育の時間とかにヒーローになれたのかな。今までで一番になれたのは反復横跳びしか僕にとって、あまりに眩しい光景でありました。
中にはキレキレの奇抜なパフォーマンスをするダンサーも。会場の反応は…?
はい、爆笑。こんな感じで終始驚きの声と笑いに満ち溢れていた。なにこの幸せ空間。
印象的だったのはアジア代表決定戦のファイナル。Ringo Winbeeというダンサーさんから出ているオーラがすごくて予選からずっと見ていた。
小さな体から繰り出されるキレキレのダンスと、相手を真っ直ぐ見てバトルする姿は鬼気迫るものがあり会場中の注目を一際集めていた。
見事優勝。そしてこの後調べたらこの方、13歳だった…。なんなの、すごすぎるよもう、なんなの。(そして名前的に弘前のダンサーかと思ったら神奈川でした…)。アツいダンスバトルと終わってからお互いの健闘を称え合う姿はどのスポーツも同じで、素晴らしいものでした。
そしてここからは地元側のパフォーマンス。こっちもキレキレやんけ…。
一足早いねぷた囃子と威勢の良いヤーヤドーの声が会場内でこだまする。
弘前学院聖愛高等学校 SPGによるチアリーディング。空を翔ぶ少女とお城のマッチ感がすごい。
圧巻だった柴田女子高等学校書道部による書道パフォーマンス。巨大な書道紙に全員が力を合わせて短時間で作品を描いていく。
完成品がこちら。「笑顔」という文字が大きく、力強い達筆で素晴らしい作品になりました。
夕方からはバンド演奏。ムーディーなサックスのstay with meが感動的…。
日が暮れるとダンスもよりセクシーな感じになります。
※大学生です
※大学生です
※大学生です
※りんご飴マンです
なんというか、夜のお城を背景にすると今までのものが更にカッコよく見える感じがする。りんご飴を持った女の子が2割り増しで可愛く見えるのと同じだね。
特にダンスのように動きの激しいパフォーマンスだと、ライトアップの影が流動的で迫力があって面白いし、見ていて感動がより伝わってくる。
そういう意味で、この城フェスのメインがダンスであることは必然だったのかもしれない。そう思わせるくらい、ダンスパフォーマンスは素敵なものでした。
夜のステージを見ている時に、ふと思ったんだ。
僕たちがいつも見ているこの風景は、僕らじゃない誰かが見てみれば、もしかしたら世界にも誇れる力を持っているんじゃないかな、ということ。
この地に根付く伝統文化もアイドルも、ダンサーも、アーティストも、クリエイターも。
彼らは何にも負けてないし、誰よりも熱い気持ちを持って自分を表現し続けてきた。
弘前という東京からすれば小さな街で生まれたクリエイターたちが、弘前城の見守る中魅せたパフォーマンスは、あの時確かに県外のオーディエンスを湧かせたのだから。
(※プロジェクトションマッピングはコチラから)
一流のパフォーマンスを地元・弘前で、こんな間近で見ることのできる機会。
それを真剣な眼差しで、1つも見逃さまいと刺激を受ける明日のアーティストたち。
そして、それを応援する地元の人たち。きっと、弘前には地域が前を向いて進んでいくための、どれも欠けてはいけないピースが揃っているのだと思う。
地域が協力していけば、こんなにも素晴らしいイベントが創れる。誰かに任せればいいじゃなくて、全員が何かを担って、1つの方向に進んで行く。こんなにシンプルなことが、どれだけ難しいことか。
弘前には弘前にしか出せない価値があるように、地域には地域にしかできないことがある。それはロケーションとか、食べ物のことじゃなくて、地元の人たちが、地元の価値に本当の意味で気づき、ほどよく外の力を借りながら、彼らの郷土愛を示すことができれば、地域というのはどんどん面白く変わっていくんじゃないのかな。
そんなことを思わずにはいられない、地域の可能性を感じた素晴らしいイベント・それが城フェスでした。りんご飴マンも1人の弘前ファンとしてこれからも応援していきますよ。公式ゆるキャラ・たか丸くんも一緒にね。
あれ? そういえばたか丸くんどこ行った?
出かけよう!!
ぼくはその場に行けないんだけど(´;ω;`) https://t.co/zl3IS6XvXu— たか丸くん (@takamarukun400) June 30, 2016
あー!
おしまい♡