Research × ringo-a.me

りんご娘をご当地アイドルと呼ぶのはもうやめようと思った話。

朝5時48分、寝つきが悪く、変な時間に目覚めてしまう。枕元に置いてあったスマホが見当たらない。

 

僕はベッドの海を泳いで、手の甲にコツンとそれを見つける。慣れすぎた手つきで、アプリを起動する。

 

 

 

最近の僕のFacebookには、りんご娘がいっぱいだ。

タイムラインに流れてくるのは、新曲のこと、ライブのこと、メディア出演のこと。

弘前の、青森のたくさんの知り合いが「いいね」「シェア」をしている。

先日も知り合いの大学生たちは、カフェで新曲のMVを見ていた。

 

 

 

そんな様子をウトウトと見ていると、4年前のことを思い出す。はじめてりんご娘と出会ったあの日からいつのまにかそんな時間が経っていた。当時東京にいた僕は、なぜか今弘前で暮らしている。

 

 

 

そういうわけで、オリンピックもワールドカップも4年に1回なので、彼女たちのことについて勝手に振り返ってみようと思う。このブログを誰が見ているかわからないが、今日は天気がとても良いので許してほしい。

 

 

 

2013年。僕はサラリーマンをやりながら、「ringo-a.me」というサイトを大学時代の友達と立ち上げて、鼻水を垂れ流しながらくだらないことに一生懸命になっていた。「りんご飴を持っている女の子は絶対に可愛い」という思い込みをコンセプトにして、いろんな人にりんご飴を持たせて、とにかく写真を撮りまくる「美女 × りんご飴」を公開しては27歳という決して若くはない、何となく見えてきたこれからの未来に必死にあらがうように毎日を生きていたと思う。

 

誤解しないでほしいが、僕は当時から赤かった。

 

 

 

ただ今より、少しチャラついているというか、怖いもの知らずみたいなところはあったように思える。こんな顔で渋谷や六本木を歩いていたと思うと、恥ずかしさよりも「なぜ?」という感情が先に出てくるあたり、僕にも少し大人になったということだろうか。

 

 

 

実は僕の弘前との出会いは5年前。当時は「りんご飴をテーマにしたサイトなのに、りんご飴のことを何もわかってないのは問題だ。りんごといえば青森。よし、行こう」といつも通り思いつきの行動に出たわけです。

 

 

 

そして、最大の誤算はやってくる。

 

りんご飴が青森にないのだ。

 

ウソだろ? りんごの国だぞ?

 

 

 

僕は頭の中が無念でいっぱいになり、道中見かけたりんご娘のチラシにも、特に関心を寄せることもなく、適度に食と地酒を楽しみ、新青森から東京に向かった。おそらく、もう青森に来ることもないだろう…。

 

 

 

しかし1年後、思わぬ形でまた弘前を訪れることになる。「美女 × りんご飴」の企画として青森のりんご娘を撮ることになったのだ。りんご娘★ringo-a.me

メンバーは4人から、「とき」「王林」の2人になっていた。ロケ日、りんご公園を歩いてくる2人はスラッとした高身長で、すぐにりんご娘だとわかった。「よろしくお願いします」と社会人顔負けの深いお辞儀をしてくれたことを今も覚えている。当時15歳。その時のレポートを読んでみると、その無邪気で純粋な姿にスタッフ一同ただただ感動していたことも確認できる。

 

 

 

撮影も終了し、これでお別れ…ではなく、「また本当に来てくださいね」という言葉に導かれていった。彼女たちのライブやイベントのたびに呼んでもらい、メンバーやスタッフ、そしてその周りにいるファンの皆さんや弘前の優しい人たちに囲まれて、知り合いがどんどん多くなり、気がつけば平日は東京、週末は弘前という謎のサイクルが生まれていた。

 

 

 

当時感じたりんご娘の魅力は、15歳とは思えない大人びた顔立ちにボーカルやキレのあるダンス、そして感謝を忘れない心。社会生活の中で馴れ合いの世界に染まってしまい、「ありがとう」という言葉もうまく言えない自分を恥ずかしく思ったものだ。彼女たちの背中を見ながら自分を姿勢を正す機会が何度あったことか…。

 

 

 

「ringo-a.me」とのコラボは続き、2014年には新たなプロジェクトとして「劇団RINGOAME」を立ち上げる。なぜか僕が脚本を書き、演技経験ほぼ0の彼女たちとの二人三脚。全てが初めての中で慌ただしい時間だったが、自然と一緒にいる時間が増えることで、彼女たちの素顔を知ることも多くなった。

 

 

 

 

2015年にはジョナゴールド、彩香が加入し、4人体制に。

僕もりんご娘との出会いをキッカケに、地元を盛り上げようと奮闘する数多くの人たちと出会い、彼らと一緒に仕事がしたいと弘前に引っ越して来た。週末のイベントだけではなく、テレビやラジオなど普通に生活していてりんご娘を見る機会があると、本当に青森県では認知度100%の存在であることを知る。

 

 

 

そして2016年から現在までは、彼女たちにとって激動の1年になったのではないか。

国民的アニメソングカバーコンテスト「愛踊祭」では地元から大きな支援を受けWeb予選を突破し、東北代表として決勝大会に進んだだけではなく、全242組の中から見事優勝してしまった。これがどんなにすごいことかと言うと、りんご飴マンがゆるキャラグランプリで優勝するくらいの偉業だと勝手に思っている。

ここからりんご娘の活動は少しずつ変化していく。県外メディアへの露出は増え、全国流通の新曲「Ringo star」は作詞作曲が多田慎也、編曲は生田真心、振り付けはミキティー本物という豪華布陣で制作、プロモーションはアキバソフマップ1号店、タワーレコード渋谷店、HMV&BOOKS TOKYOの東京3箇所でのリリースイベント、そして台湾進出。これまでの活動も引き続き行いながらのハードスケジュールで、明らかに「勝負に行ってるな」ということがわかる展開だ。

 

 

 

ちなみに今回の「Ringo star」MVについては恐縮ながら企画・制作を担当させてもらったが、ロケ現場では本当に彼女たちに助けられた。4年前では考えられないようなプロ意識、演出の理解力に驚かされ、文字通り彼女たちと一緒に作った作品だ。公開がとても楽しみ。

(MVのエピソードについてはいくらでも話せそうなので、また別の機会に…)

 

 

 

充実した活動の一方、これは僕が完全に弘前に染まっている証拠かもしれないが、どこかで寂しさを感じてしまった人もいるのではないだろうか。あらゆるメディアで賞賛される彼女たちをテレビやSNSで見ていると、いつか地元を離れてしまうのではないか、故郷を忘れてしまうのではないかと心配する声も聞こえてきそうな勢いだ。

 

 

 

しかし、原点に立ち返ると、そもそもりんご娘とは農業活性化、地域活性化を目的とした、地元で育ち、地元を愛して、地元をPRする、17年間続く歴史あるアイドルグループ。先日リリースされた台湾向けのドキュメンタリー映像でも、彼女たちの言葉からしっかりとその意思を聞くことができた。

 

 

 

「たくさんの先輩から受け継がれて17年間続いているグループ」

「私たちの活動を通して青森のりんごを食べてもらいたい」

「地元の人と一緒に地域を盛り上げていきたい」

「たくさんの人たちに青森に来てもらいたい」

「私たちの役目は農業活性化、情報発信だけじゃなく、その大変さ(価値)も伝えていけるよう行動で示していきたい」

 

どれも10代の学生が話しているとは思えない内容だが、その言葉には重みがあり、覚悟さえ感じる取ることができたのだ。

 

 

 

そういうことで僕は、(昔からのファンの皆さんに比べれば短い期間だが、)東京から2年、そして弘前で2年りんご娘を見ていたことになる。この4年間は本当に色々なことがあったが、よくよく考えてみると何も変わっていないということに気がついた。

 

 

 

それは、彼女たちが「りんご娘」として自分たちの役割を理解し、地元への感謝を忘れず、ブレることなく突き進んでいることだった。4年前、僕はりんご娘のことを「ご当地アイドル」と呼んでいた。当時「あまちゃん」が大ブームになり、地域で活動するアイドルも注目される中で出会った彼女たちは、まさに僕のイメージしていた姿だった。

 

 

 

しかし、4人それぞれのストーリーを知ると同時にそのイメージはこの4年間で大きく覆され、もはやアイドルという言葉では説明しきれなくなっていることに気づく。

 

 

 

なので僕は、勝手に決めているだけだが、りんご娘のことを「ご当地アイドル」と紹介するのはもうやめようと思っている。(誤解のないように申し上げるが、決してご当地アイドル自体を批判するものではない)

 

 

 

青森県の農業活性化、地域活性化を目的とした壮大なプロジェクト。楽曲もMVも、東京も台湾も、そしてアイドルという活動さえも、全ては青森のりんごを、青森の魅力をみんなに伝えたいという想いから生まれていることをもう一度伝えたい。

 

 

 

そして、そんな大きなミッションを背負い、地元に貢献しようとしている彼女たちを心から尊敬し、これからも一人の友達として、ファンとして応援し続けたい。

 

そんな気持ちにさせてくれて、ありがとう。

 

 

 

そんなわけで、東京の人たちも…、台湾の人たちも…、一緒に…応援してもらえれば…幸いです…。まずは…、「Ringo star」がオリコンに…、ランクインすることを…ねがって…

 

 

 

 

 

 

 

 

ねほいだじゃ!!!!

 

おわり

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