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りんご飴マンの休日~いかれたbabyとりんご音楽祭~

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青い空、白い雲、照りつける太陽、35℃を超える気温。つまり夏だ。梅雨が明けてしまった。

こんな日にりんご飴マンは・・・

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りんご飴を売っていた。

世界に広げる活動と言えば聞こえはいいが、単純に金がなかった。もう売ってしまおうと思った。

ここは休日で賑わう、緑豊かな都立公園。人通りも多いため馬鹿売れすることうけあいだ。

らしくもなくりんご飴マンは威勢の良い、活気あふれる声で「りんご飴いらんかね」と叫んだ。

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子供しか来ない。

突然の非有職者に戸惑いも隠せなかったが、さらに衝撃の言葉が私を襲う。

葉っぱのお金とりんご飴を交換しよう、と。

普段から子供があまり得意ではないりんご飴マン。

脅かして追っ払うことも考えたが・・・

 

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世間体のために快諾することにした。

次々に売れていくりんご飴。しかし、手元に貯まるのは葉っぱばかりである。

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りんご飴を持った、幸せそうな子供たち。

次は親御さんから財布くすねて持って来いよ・・・。

 

台風のような出来事にどっと疲れた私はもう帰って「モヤモヤさまぁ~ず2」の録画を見たいと思った。

そのときだった。

 

 

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白いTシャツに青いスカートを着た女の子が立ち止り、興味深そうにりんご飴を見ている。

ショートカットの黒髪に、全てを見透かされそうなツリ目が特徴的な、凛とした女性だ。

 

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しかしどこかで会ったような、誰かに似ている・・・

ニヤリとこちらをじーっと見つめる彼女に、必至に記憶を呼び戻す・・・。

 

 

あっ

 

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コムアイだ!

 

そう、マイペースでゆるゆるなのに、サウンドは素晴らしく神秘的でクセになる

水曜日のカンパネラ」のボーカル、コムアイである。

Twitterで2,000人というフォロワーを携えていることに嫉妬したことがキッカケで、

この間ライブも実は観に行っていたのだった。

なんという偶然、これを運命と言わずなんt

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!?

「りんご飴ください」

そこらへんで千切ってきたであろう大小の葉っぱをちらつかせて突然そう言った。

ふざけるな・・・生活がかかっているのに、そう易々と応えてられるか。

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でも美人は得だから、応えた。

 

貪り食うコムアイ、軽く会釈をして颯爽と森の中に消えていってしまった。。。

 

りんご飴をタダであげたのに、フォロワーも分けてくれず、メールアドレスも教えてくれなかった。

絶対無比で特別な存在であるりんご飴マンが・・・どうして・・・

ゆるさない・・・ゆるさない・・・

 

絶望と憎悪で溢れかえったりんご飴マンは静かにダンボールを片づけて、

小さな足跡を追っていくのだった。

 

気付かれないように、ゆっくりとその距離を縮めていく。

・・・つもりだった。

我を失っていた私は、獲物との距離を既に見誤っていた。

 

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「・・・あれ?」

しまった。見つかってしまった。近づきすぎたか。

 

「どうせだから、一緒に乗ってく?」

指さされた先には、ボート乗り場があった。

 

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乗ります!!

すっかり機嫌を取り戻したりんご飴マンはスワンボートに駆け込んだ。

楽しい午後のランデブーである。

 

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隣にいるコムアイは、段々と心を開いてくれた。

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りんご飴マンがTwitterで絡んでくれたときは嬉しかったこと。

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ライブに来てくれたときも、嬉しかったこと。

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さっき偶然会えたことも、実は嬉しかったこと。

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心からの本心を聞けたりんご飴マンは気分上々で、

ペダルのスピードも快速、見通し良好である。

 

さらに、話を聞くと水曜日のカンパネラは9月に開催される「りんご音楽祭」に出演すべく、7月にオーディションライブを控えているというのだ。

りんご音楽祭といえば長野県松本で毎年開催されている、ご当地フェスじゃないか!

しかもりんごって、りんご飴マンも行かない訳にはいかない!

そんな妄想をしていたところ、コムアイがおもむろに言い出した。

「今日宣伝写真を撮りにきたんだけど、よかったら一緒に出てくれない?」

 

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タハッ!!

 

惚れてんよ~www

この子俺に惚れてんよ~www

 

もちろんOKだよ、じゃあ後で撮ろうと快諾した。

仕様のない子だ、あとでLINEのIDを聞いてやろう。

 

さて、そろそろ戻ろうとハンドルを回そうとしたとき・・・

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あっ!前方に・・・。よし緊急回避で面舵いっぱい!

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あっ、これダメなやつだ・・・

 

「ちょっと後ろから押してみてくれる?」

え?

「ちょっと後ろから押してみてくれる?」

 

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どう?

 

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ねぇ、どう?

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進んできた? 「うん、進んできた」

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「先、行ってるね。」 えっ?

 

 

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偶然通りかかったボートに手を借りて、私は命からがら助かったのだった。

 

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綺麗な薔薇にはトゲがある。この子にはナイフのような鋭利さがあった。

 

しかしながらりんご音楽祭には興味がある。

もしかしたらこの子についていけば、

数万人の前でりんご飴の魅力を伝えることができるかもしれない。

そう思ったりんご飴マンは、宣伝写真の約束を果たすために、

先ほどの大惨事は目をつむり、ロケ地へ移動した。

 

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撮影を終え、一枚。

なんでも、7月16日(火)に「RINGOOO A GO-GO」というりんご音楽祭のオーディションライブをやるらしい!

まずは何としても出るために、そこでアピールをするしかない。。。

そしてこれ記事を見ている諸君!もし当日の夜、お暇であれば

ぜひコムアイとりんご飴マンを応援しに来てほしい。

場所は渋谷「UNDER DEER Lounge」のようだ。詳しくは水曜日のカンパネラのホームページに行けば載っているぞ。

http://www.wed-camp.com/live_event.html

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良い宣伝写真も撮れたし、りんご飴マンの快進撃は続く。

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